平成19年度 ハイテク・リサーチ・センター構想調書の概要
法人番号 231019 | 法人名 学校法人名城大学 | 大学名 名城大学
事業名 制震構造化等の新しい概念による構造物の耐震性能向上プロジェクト
1.研究目的
東海・東南海・南海地震等の海溝型巨大地震や突発性の内陸活断層地震の発生が危惧されている今日,これらの巨大地震から住民や社会資本の安全を守り,高密化した現代都市の機能を維持していくためには,地震動の不確定性を想定し,高度な数値解析および実験に裏付けされた構造物―地盤系の耐震性能向上技術の開発が不可欠である.
本プロジェクトは,制震構造(地震エネルギーを吸収・消散する機能を持つダンパーを構造物内部に設置した構造)などの新しい概念を導入し,高度な数値解析と実験により,解決が迫られている3つの課題,すなわち1)制震構造化による動的挙動が複雑な橋梁,大空間構造等の新しい耐震補強法の開発,2)浮屋根と液体の連成を考慮した大型液体貯槽(石油タンク等)の耐震設計法/補強法の開発,3)海溝型巨大地震時の地盤挙動を考慮した土構造物の耐震設計法/補強法の開発,に関する研究を行い,合理的な耐震設計法/補強法の提案をすることを目的としている.本プロジェクトで開発される手法は,今後の耐震関連の研究を進める上で非常に有効な手段となり,実用性と共に学術的な意義も大きい.
2.研究計画・研究方法
研究方法
課題(1):制震構造化による土木・建築構造物の新しい耐震補強法の開発
構造物のライフサイクルに渡って取り替え不要な高機能制震ダンパーを開発し,広域的な表層地盤―基礎―構造物―制震ダンパー系の複合非線形地震応答解析により既存構造物(橋梁,大空間構造物等)の耐震安全性を検証すると共に,効率的な制震ダンパーの設置方法を検討する.さらに,他大学の実験室をコンピュータネットワークで結び,多機関連携のハイブリッド地震応答実験(実験と数値解析を併用して地震応答を求める手法)を実施して数値解析結果の妥当性を検証し,制震構造の設計法を確立する.
課題(2):浮屋根と液体の連成を考慮した大型液体貯槽の耐震設計法/補強法の開発
浮屋根と内容液との動的連成作用を考慮した地震応答解析および震動台による縮小模型実験を実施し,浮屋根の沈没のメカニズムを解明するとともに,浮屋根の効果的な耐震補強法を提案し設計法として確立する.
課題(3):海溝型巨大地震時の地盤挙動を考慮した土構造物の耐震設計法/補強法の開発
鋭敏な自然堆積粘土地盤等の動的挙動を材料実験,震動台実験,および数値解析により解明し,土構造物の耐震設計法/補強法を開発すると共に,課題(1)の地震応答解析に取り入れる.
研究計画
3年目終了時までに,(1)高機能制震ダンパーを開発し,広域的な非線形地震応答解析を実施する.(2)大型液体貯槽の動的挙動の解明および震動台実験による検証を行う.(3)鋭敏な自然堆積粘土地盤の動的挙動の解明を行う.5年目終了時までに(1)数値解析および実験により制震ダンパーあるいは免震層の有効性を実証して耐震補強法を確立する.(2)既存貯槽浮屋根の効果的な耐震補強法/設計法を確立する.(3)鋭敏な自然堆積粘土地盤の構成則を開発し,土構造物および橋梁の耐震補強法を提案する.(4)各課題に対する耐震設計法/補強法ガイドラインを作成して公表する.
その他
3年目終了時にはワークショップを開き識者の意見を聞いて次年度以降の研究に生かし,5年目終了時には研究成果の報告会を兼ねて小規模な国際会議を開く.